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まるで名探偵のような
 雑居ビルの事件ノート
The Honeycomb
or: Five-Story Multi-tenant Building

まるで名探偵のような
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風変わりな住人が集う雑居ビルを舞台にした短編連作ミステリ

 変化のない日々に退屈した高校生小南こなみ とおるは、雨宿りに入った雑居ビルの喫茶店で奇妙な少女に出会う。
 マスターの娘で喫茶店を手伝っているというその少女は無表情で無愛想、そしてなにより無責任な言動で通を困惑させる。
 しかし、独特な世界観を持つ彼女の思考は、雑居ビルに持ち込まれる様々な奇想問題を次々に解き明かしていく。それは彼女が、通の見ているのとは全く違う世界を観ているからで――
 通は次第に、彼女と過ごす謎解きの時間を楽しむようになっていく。

 探偵の名刺を使って不可解な行動を取る怪人物の正体を暴く「名刺は語らない」
 失踪した女性の日記から居場所を見つけ出す「日記の読み方」
 江戸時代の剣豪が秘剣で成した三連続密室殺人の謎を解く「不死の一分」
 とある疑心暗鬼に悩まされる女性の殻を破る「パック寿司とハムレット」
 遺産相続の条件に指定された、映画のヒロインのモデルを探す「名探偵の死角」

 5つの奇妙な謎に挑む少年少女と、その謎にまつわる大人たちの人生模様。雑居する人々を物語る連作ミステリです。



 事件の聞き手の少年と素人探偵の少女がスタンダードな流れで謎解きをするAパートと、Aパートの登場人物の背景やその後が語られるBパートで構成される短編の連作です。
 Bパートは(狭義の)ミステリではなく、Aパートと関係が深かったり浅かったりする短編ないし掌編小説です。ただ、Aパートの謎解きで用いられたギミックや「ものの考え方」を敷衍した展開が用意されています。
 一見ジャンルの違う両パートに共通する「視点」。その飛躍と越境を表現しようと試みましたが、成功しているか否かは読者諸氏の視点に委ねるほかありません。

 AパートとBパートの関係性の解釈は読者に任せたかったので作中で明示せず、あえて無愛想な書き方にしました。あるいは不親切だったかもしれません……
 全体を通して、読んだ後に「前へ向かって投げやりな気分」になってほしいという願いを込めた連作になっています。









ガングドー2023
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